
タクシーの運転手に行き先を告げると近いからか、不満そうな声を上げられる。東京駅の前で行列をなすタクシーの列というのは、長距離の客を狙ってのことなのだろう。そこにひょいと私のような近距離の客が乗り込むと、さすがに乗車拒否は出来ないだろうから、迷惑千万というところなのだろうと推測する。タクシー運転手のテクニックなどこちらからすれば知ったことではないし、そもそも日本のタクシーは高いので腹立たしい限りであるが、客を選ぶことも重要なことなのかも知れない。途中で幾つかの駅に停車して、2時間程度かけて広州の駅に到着する。予定より随分遅れている。あまり当てにならないとは思っていたが、数十分の遅れというのも大雑把過ぎる気がする。仕事と同じで事前にこういった事態を想定しておくことが必要である。仕事が出来ない人は旅行先でも色々困るのではないかと思う。事務処理能力とクリエイティビティがどちらにおいても必要だからである。

広州東駅も大して大きい駅では無い。日本の鉄道インフラを見たら中国人はきっと驚くだろう。どこに住んでも都心にすぐアクセス出来る環境というのは、なかなか得がたいものである。タクシーで帰ってもそれほど金がかからない場所となるとかなり限定されてしまうが、終電までに帰る、といった概念が日々の生活に関係ない人は千葉でも埼玉でも十分に暮らせるし、家賃を安くすることが出来る。不動産価格はこういった場所から下落を始めるのだろうが、日本の不動産は確かに価格を下げたが、まだマシな方である。JREITの株価の予測通りの結果になるとすれば半額だが、韓国では既に60%以上下落しているエリアもあるというし、外資頼みで成長してきたような国はとにかく資産価格の下落が激しい。日本人の場合、株は買えても不動産を買い上げていくというモチベーションにはなかなかならないのがバブルの後遺症なのだろうが、団塊ジュニアの購買意欲をさんざん前借りした不動産業界は苦境である。

これだけ金をばら撒き、金利水準が歴史的に低い水準を続ければ、裁定の機会を生むことになりかねない。新たなバブルを発生させることでは、もはや問題は解決しない。日本人は生活水準の切り下げを受け入れることを求められている。政治家はへたれだから、そんなことを国民に伝えることは出来ないが、ワークシェアなどと言って片仮名を並べる背景には、生活水準を下げた社会主義国家の設立を目論む人間がいることも確かである。自分には関係無いと思っていると、いつの間にか波に飲み込まれてしまう。自分という基準を過信してしまっては、結果として学ぶ姿勢を失い、機会を潰す。生きる上でこれほどの損失も無い。

島国の日本に暮らす私には不思議な感覚なのだが、鉄道の駅にイミグレーションがある。用紙に必要なことだけ書き込み、パスポートと合わせて提出する。電車の中でも配られていたが、駅構内のイミグレーションの前にも用紙が置かれている。しかしながら、通常は行きと帰りが半分ずつになっている用紙が合わさったものが置かれているはずだが、半分切り取られたものしかない。どのような事情か分からないが、通常残りの半分が無いと出国の際に困ると思うので、担当の係りに帰りの分が無いんだけど、と言ってもらった。恐らく数百枚はあると思われる用紙がすべてそのような状態にあるということは、何か良くないことに使うために持ち帰ったりするのだろうか。その辺は土地に詳しい人に聞かないと良く分からない。
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