
自分の事は自分で何とかしようとするにも関わらず、他人の事は神頼みである。自分の事まで神頼みにしてしまうような事は、日本人の私にはあまり理解できない概念だが、他人に関与するという点での自分の事についてはどうしてもコントロールが間接的なものとなり、強制力を持たない。そういった環境に置かれることにもいつか慣れるだろうか。今自分が出来る限りのことをしているか疑問である。これ以上出来ないという状態に自分を置いているのか。やるべき事をこなした上で更に付加価値を提供しているのだろうか。生きる意味など考える暇も無い。目の前の事に対する要求水準を満たしていない自分がそこにいる訳で、結局それすら出来ない状態では生きるとは何かとか、そういうことを考える次元では無いのである。高い壁を乗り越えて行きたいとか、そういうことでも無いのだろう。ただ自分が納得出来るかどうかということで、ベンチマーキングの繰り返しである。そういう意味では自分のやることに対して、納得したことはそういえば一度も無いように思う。

集中力が長く続かないのは猫と変わらない。命を預る外科医は24時間でも集中できると言う話を聞くと、自分がいかに目の前の事に未熟としか言いようが無い取り組み方をしているのかが分かり恥じる。困難に直面し考えて乗り越えようと努力する時間は他の人に比べてどうなのだろうか。考えても分からないから無駄、ということを考えて更に答えを出してしまうような人がプロフェッショナルなのかも知れない。そこで諦めない忍耐力、分からない中でも回答を見つけ出すためには必要である。答えのある問題の繰り返しをするような試験で高得点を出すのは簡単である。繰り返して勉強すれば良いだけだからである。実務というものはより複雑であり、回答も手探りだが、100点以上を目指さなければならないという面白さもある。脇とか背中に汗をかきながら考える時間というのは、きっと寿命を縮めているのだろうが、それでもそっちを好んで選んでしまう人が多いわけである。

与えられたことしかしようとしない人がいるが、どうしてそうなのかということを無駄だとは思いつつも考える。そもそも能力が無いだけなのだろうか。少しラクをしたいという考えもあるのだろう。そういった人がいること自体は理解しなければならないが、そういった人を重宝しても仕方ない。それはプロフェッショナルファームの経営としては間違っているからである。最近になって様々な施策を打ち出しているが、これまでの管理手法はあまりに杜撰なものであり、そして出てくる施策にも理念を感じることは難しい。希薄さが生み出すものなのかは良く分からないが、その先の未来に光を見ることが出来ない。成長し続けるような産業であれば、多少辛くても気分が良いものである。しかし、詰まらないことを成長の見込めない中で続けることは、やはり自己実現に辿り着くまで走り続ける人間には苦痛であるし、より詰まらなく感じてしまう。良い環境で面白いことをするのが一番良いのだろうが、そもそも面白い仕事などと言うものは世の中には殆んど無い訳であって、それを望むのを贅沢と考えるのであれば、後は環境を整えるということしかない。

環境を整える責任が、スタッフなどに無いとは言わないが、右も左も分からない状態の人間に、そこまで求めるのは酷なのかもしれない。何故そういう方向を向いてしまうのかということも、これまでは問題にならなかったし、少数精鋭であったがゆえに問題にしても大きくならなかったのだろう。しかし昨今の監査法人の就職状況というものは、バブル以外の何者でもなく、既に質が低下している状況に追い討ちをかける。そして本当のゆとり世代の入社を控え、戦戦恐恐としている管理者層もいるはずである。結局与えられないと何も出来ないし、組織に入ることで自分を成長させてくれる先輩がいると信じ込んでいる若者であると割り切って戦略を立てるしかない。彼等もどうして良いか分からない不安と闘い続けているのであり、個々人の責任だけにすることも出来ない。教育システムが崩壊し、家庭での教育が不十分であれば、当たり前のように教養のレベルは下がる。しかしそのように扱われることで自信を失くせばすぐに退社してしまう訳である。我々と同様に将来への不安を抱えている訳であり、そこに違いは無い。

将来の不確実性というものは悪いことばかりではない。変動が大きくなければ、大きく下にブレることは無いかも知れないが、上に飛び抜ける可能性も失っているかも知れない。才能をうまく管理して、組織に貢献させていくということは、難しいことであるが、これを戦略的に行うことで、長期にわたり減損せず、むしろ価値が向上していく資産を組織内に蓄積することが出来る訳である。人材も画一的な人だけではポートフォリオとしては失敗する可能性が高い。応用が利くか利かないかということは、色々な人がいることによる効用というものをうまく測定しなければならない。このために必要なことは、カレントテキストには書いていないし、社内のマニュアルにも書いてある訳では無い。そういった点について、明らかに比重が低いのは、会計事務所であるが故仕方がないことなのだろうが、それでも経営を行う人間になっていくのだから、会計だけでなく、組織人としてのマネジメント能力というものを身に着けていかなければならないはずである。顧客迎合的であったり、本当のプロを生かせない組織作りをしたり、自己の保身にだけ能力や時間を割いたりするのは、日本人が古来より持つ武士道の精神にはそぐわない。こういったものは目上の人間への尊敬とかそういった概念とは全く関係がなく、低い次元での欲求であり、これを満たすために生きなければならない組織など世の中には必要とされない。精神的な話になるとどうしても胡散臭くなることから、なかなかコミュニケーションをうまく取れないこともあり、モチベーションを管理するためには、精神論だけではなく、科学的にある程度考えて、多くの人が納得できる状態を作ることも必要である。
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