
自分が生きる中で発見した経験則というものが、既に本に書かれていたりする。人間の思考というのは同じような環境にあれば、似たような結論を生み出すということである。そういった場合には共感することもあるが、同時に自分の考えは既に古いのだと感じる。しかし他人が考えたことを考え直す時間と言うものは無駄ではないし、むしろ重要である。経験を書いた本を読んでも、同様の体験をした場合と同じように経験が蓄積する訳でもない。十分なデータに裏づけされたようなものがやはり重要である。監査をしていく中で、企業の作成する経営計画などを見たりする訳であるが、それが正しいかどうかなど証拠を集めようがない。将来の事象の証拠などどこにも保管されていないからである。将来の予測というものはどのように行えば良いのだろうか。企業が部署単位で作成する数字を鵜呑みにするのは監査人のすることではない。将来の調達金利がどのように動くかという予測について、マーケットの数字と比較してみても、マーケットは常に変動するし、それに対応出来るかどうかを測定するとなれば膨大なコストがかかる。

最近の会計基準の方向というのは、将来の予測を要求するようなものが多く、既に限界と責任範囲を超えている。会計士が保守的にならざるを得ないのは、そこまで対応することが出来ないためである。これは改善すべき点でもあろうが、監査をやる人間でファイナンスにも経済にも強いという人間はあまりいない。それが出来れば他で沢山稼げてしまう人が多いからである。監査人が稼げないという訳ではない。むしろ世間一般に比べれば多く貰っているはずである。入社直後の人間に普通の会社では30歳で役職がつくようになったぐらいの給料を払う不思議な会社もそんなに無い。もう少し監査人はシフトしても良いのではないかと思うのと同時に、監査という独占業務を聖域として守るためには、あまり他の分野に多角化せず、専門家を使った方が良いのかなとも思う。それぞれの専門家の能力は確かめようが無い。それで最終的には監査人が監査のリスクを負うのだから、本当にそれで良いのだろうか、とも思う。例えば不動産鑑定士に不動産の評価を依頼したとしても、それが正しいかどうかを判断できる会計士など殆んどいないはずである。胡散臭さを拭えないまま意見を表明する。

最初に思ったことが正しかったな、と思うことがある。試験で選択肢に悩んだときによくある後悔の話である。あるいは最初に描いた絵が一番うまかったりする。その後でもう一度描きなおそうと思ってもうまくいかなかったりする。最初と二番目では明らかに何かが違うのである。試行錯誤とはまた違う。最初に結論が出ていることで悩んではならない。人の真似をしてもその結果はきっと割り引いたものにしかならない。求められる内容が増えているにも関わらず結果が割り引かれていたら評価が上がるはずも無い。同じ事をするのであれば、もっと少ない日数で達成する必要があるのである。そもそも他人のコピーに何かを足していく作業と言うのは無駄に思う。自分の思うところを体現していくのであれば、最初からやらなければならない。しかしそんなチャンスが常に転がっている訳ではない。成長を求めるのであれば、自分で何でもやらなければならない環境に飛び込んで、そこで自分で何かを成し遂げることが必要である。上司に文句を言っている暇があるのであれば、何かを成し遂げることに専念すべきなのである。

昼と夜は長く続くように見える。もちろん太陽の位置が変化していくことで、微妙に変わっていくのだが、夕方と明け方というのは目に見えて変化していってしまう。そういった儚さに美しさを感じるということか。人工物でしかないバカラの数億円のシャンデリアに太陽の光が当たると綺麗に見える。朝が一番綺麗で、朝陽があたってきらきらする姿は、何か自然との融和のようなものが見える。人工的に夜間に電気を灯しても、それはそれで綺麗だし、多くの人が集まってきて富の象徴だな、などと思うが、物足りない。脚色しすぎなテレビの番組やニュースに胸焼けするのと同じような感覚で、いつかは飽きていくように思うが、毎年このシャンデリアの前には人だかりが出来る。毎年来るような人もいるのだろうか。1年に1回ぐらいが丁度良いのだろう。毎日見ればそれは飽きるのが当たり前である。たまにイベントをやっていて、歌を歌ったりしているが、それに足を止めるほどに野次馬でもないのがチャンスを逃すようで残念でもある。

ただその時の大衆の気分で市場の心理が回復していくこともあるし、何でも良いのかとも思う。光を見ることで心が落ち着くのは確かである。心が落ち着くから見に来るのだろう。それだけ日々の暮らしというのは不安であるし、将来と言うのはもっとずっと不安である。自分の心が揺れて、こういった装飾の照明の光が風にゆれることで、安定を感じるのかも知れない。
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